2011年6月28日火曜日

Make Material ②


ナマステ ウッジョールです。

次に、ネパールに来てから、ネパールで手に入る物で
作った教材をいつどんなときどのように使うのかを
説明しながら紹介した。

私は、自分で作ってみたいものを作ってもらおうと思っていたのだが
昨日、公開授業してくれたY先生が、私が紹介し、自分も使った教材を持って
「これは絶対に役に立つ。だからみんな作るべきだ。」と主張した。
私も心の中では、そう思っていたが、
Y先生がここまで気に入ってくれているとは思っていなかった。

さあ、教材を作ろう!
この教材作り、カティ ラマイロ ラギョ!!(どんだけ面白かったか!)
面白その① 先生達の不器用なこと!
      はさみ、定規、紙の使い方、
実は先生も経験不足でよく知らなかったんだ!

面白その② 先の見通しができない!
      計画的に作ることがとても苦手で、やってしまってから失敗に気づく。
      これもやっぱり、今まで自分で教材を作ったことがない。
      先生達も子どものときに、
図工や操作活動など作業をともなう経験をしたことがない。という
経験不足から来るものだろう。

面白その③ 「ミス(女性の先生の呼び方)これでいい?」とみんな訊く!
      先生も子どもと一緒!
今までしたことがないので、みんな自信がないのだ。
      そして、私が「とても、いいですね。」「ナイスアイデア!」などと言うと、子どものように嬉しそうに喜んでいる。
      先生も、学校でたくさん褒められたことがないのだ。

面白その③ 片付けができない!
      ごみをゴミ箱に入れる習慣がないネパール。
      散らかし放題で帰ろうとするので、
「みんなで片付けしないと帰れません!」と一言。
一応は、片付けてくれたけど、日本のようには行かない。
ここを忘れていた!これは私のせいだ。
ネパールで何か作業をさせるときは、ここをきちんと指導して
行わないと、うまくいかない。
これから、ネパールの先生達に操作活動を取り入れた授業をしてもらうには
「片付け」指導は抜かしてはならない。
      
今回の教材作りで、改めて、自分で経験する大切さがわかった。
先生達は、初めはどう作ったらいいのかわからず戸惑っておられたが
作業が進むにつれ、集中して、自分なりに工夫して、
近くの人とアイデアを共有しながら、本当に楽しそうに作っておられた。
「作ってみて、どうでしたか?」と。「とても、楽しかったし、よかった。」と
作っているときどんなことを考えながら作りましたか?」と
「どうやったら、うまくできるか?」「どうやって、子どもに教えようか?」
「作るのは、難しいな。」などと
「今日、先生方は私の生徒でした。
この気持ちは、子どもも同じなんです。どんなことも自分で経験して、初めていろんなことを考え、理解できるんですよ。
だから、授業中、できるだけ多くの活動を取り入れ、
子ども達にたくさん経験させてあげてください。」と最後締めくくった。
自分で言いながら、自分でも「ほんまにその通りや!」と改めて、知ることができた。

今まで経験したことがないネパールの先生方に
経験してもらうために、先生方の理解や準備などほんまに大変やったけど
終わって、「やって、よかった!!」と心から思った。

Make Material ①


ナマステ ウッジョールです。

公開授業の次の日、算数の授業に役立ちそうな教材作りを
先生方と一緒に作った。

まず、今まで26校を巡回してきて、
感じたネパールの算数教育(算数だけじゃないんだけど)の問題点を
3つに絞って、話をした。
①数の概念が理解できていない。
 数字は教えるけど、10がいったいどんな数なのかきちんと教えないので
 子どもは10を文字や言葉として理解しているだけ。
 なので、「5と10どちらが大きいか」と訊いても、「5」と答える子どもが結構いる。
 教材を使って教えることも少ない。あっても使わない。
→具体物、半具体物をたくさん取り入れて、教えよう!
 教材が、あるなら使おう!ないなら、作ろう!
②経験と練習量が全く足りていない。
 操作活動のいっさいないネパール。授業中の子どもの活動は、
ノートに書くか、全員で同じことを何度も言うだけ。
先生は宿題をたんまり出すが、やりかたのわからない宿題をしてくるわけはなく
ずるい子どもは、やってきた子のノートを写しているだけ。
→子ども一人ひとりに操作活動させよう!教材を作ろう!
③教科書と子どものレベルが合っていない。
 開発国は海外の支援が多く入っているため、政府があれもこれも取り入れて
 教科書を作ってしまう。(子どものことは考えずに)
 なので、1年生の教科書にも掛算、割算、分数まで載っている。
 数の概念が理解できていない子どもにどうやって、教えるのか?
 何も知らない先生達は、教科書に載っているから、できなくてもどんどん教える。
 教えたのにできないのは、子どものせいなのだ。
→その学年で一番教えなければならないことは何なのか、重点目標を作ろう!
 1年生で、掛算、割算、分数はいらないよ!
 そして、子どもができないのは、先生のせいだよ!!

最後の一文は、強調して言わせてもらった。

私のつたないネパール語で通じたかしら?
かなり熱弁したから、気持ちは通じたと思う。

公開授業


ナマステ ウッジョールです。

31日間の村生活が、終わった。
長いようで短い期間だった。
昨日、一昨日の2日間で、公開授業と教材作りのトレーニングをした。
一言、「疲れた!」
しかし、久しぶりに仕事した!っていう充実感があった。
ここに至るまで本当に大変だった。
1ヶ月、主に算数を教えている先生に付きっ切りで
私の授業のノウハウを教えた。
57歳のY先生は、とてもいい先生だった。
ネパールでのキャリアも長く、算数一筋で教えてこられたY先生は
私にキャリアもプライドもズタズタにされながら、それでも
非常に熱心に私から私のつたないノウハウを学んでくれた。

そして、彼はこの村初の公開授業(ネパールではほとんどしない)をしてくれた。
集まってきた先生達も、他の先生の授業をまともに見ることも初めて。

しかし、ここはネパール、どんなことがあってもおかしくない国。
やはりハプニング続出。
当日、私の心配していたことが起こった。
参観する先生が時間通り来ない。
10:00からの予定が始まったのは13:30。
さあ、授業を始めようと思ったら、今度は子どもたちがいない。
午前中の授業が終わると、カザ(軽食)を食べるために家に帰る子どもたちも多い。
そして、そのまま家で。なんていう子どもはたくさんいる。
先生が10:00に来ればそんな問題は起こらなかったのに・・・。

そんなこんなで始まった授業。
Y先生とても緊張しておられた。いつもの感じが全く出なかった。
考えていた問題も、違う問題を出したり、忘れていたり。
それで、当たり前だ。なんせ初めてのことばかり。
うまく行かなくても、この国でこの村で公開授業をしたことが
大きな一歩となったことは間違いない。

その後の授業反省会で、Y先生は自分はうまく授業はできなかったが
私と1ヶ月、一緒に授業をしたことは、今まで受けてきたどんなトレーニングよりも
一番、役に立った。そして、すぐ授業に使えることができたとおっしゃってくれた。
さらに、参観した先生方に、私から学んだ方法がどんなにすばらしいかを
熱弁しておられた。(照れくさい)
私は、悪いなと思いながら57歳のY先生に、
だめなところはだめとはっきり厳しく言っていた。
なので、反省会での先生の熱弁を聞いて、本当にうれしく思った。胸が熱くなった。
人に教えることが好きなY先生は、今後きっと若い先生に
このノウハウを教えていってくれるだろう。

私の1ヶ月村生活。大きな成果はないが、静かな湖面に小石を投じるように
波紋を作ることはできたのではないかと思う。
まだまだ、これで満足していてはいけない。
これを私がいなくなっても、続けていけるようにしなければならない。
ネパールの先生がネパールの先生同士、向上していけるように、
何とか小道、いや畦道でもいいから、作れるといいな。
ビールも飲まずにがんばった私に「ほんま、お疲れ!」と言いたい。
今日は、自分の部屋で静かに一人で乾杯かな!?